けいた と おちぇの親方日記

16歳のわんこと暮らすのんびり日記です。

小説「夢幻花」(東野圭吾著)

東野圭吾さんの小説「夢幻花」を読んだ。
東野さんの小説を読むのは、久しぶりである。



主人公の蒲生蒼太は、原子力工学を学ぶ大学院生。
学校は東大阪市というから、モデルは近大だろうか。

蒼太は疎外感を感じる実家を嫌い、東京を離れていたが、
父の三回忌のため、実家に帰った。
そして、実家の前で秋山梨乃という大学生に出会う。

梨乃は、かつて五輪を目指すことほどの水泳選手であったが、
今は泳げなくなり、親元を離れ、一人暮らしをしている。

そんな無気力な梨乃は、従兄の鳥井尚人の葬儀をきっかけに、
花を育てることが好きな祖父の周治に会いに行くようになる。

そして、ある日、周治の家に行くと、周治は殺害されており、
庭からは黄色い花の鉢植えが消えていた。

ネタバレになるので、作品紹介はここまで。

帯に『こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない』とあるが、
それほど複雑とは思えない。

確かに最後の方までいかないと犯人は解らないが、
それは情報がない(文中にない)だけで、謎解きが難しいのではない。
さらに周治を殺害した理由も同情の余はない。

本作の前に読んだ『マスカレード・ホテル』、
マスカレード・イブ』の時も思ったが(かなり前であるが)、
娯楽性は高いが、感動や驚きは得られなくなった。
東野さんの作品では、『容疑者Xの献身』と『秘密』が双璧だと思う。
ただ本作の中でも、周治の言葉の中に共感できるものがあった。

『辛いことがあった時には、このおかげで一歩成長できたと思えばいいのです。
 そうすれば素晴らしい一年になるてしょう。』

『自分にとって一番大切なものは何だったのかということに気付くのは、
 それを失った後なのです。』

『過ちを犯さずに一生を終えられる人間などいないのだ』

こういう言葉には共感できるものの、
作品自体には感動や共感はできなくなってしまった。
自分が年をとったということだろうか。